推し日記

気が向いた時に書きます。きっと。

液タブ記念日

 

一昨年、とあるソーシャルゲームのキャラクターに気を狂わされた。

 

人間予期せぬ角度から来た推しに転げ落ちると尋常ではないハマり方をするというが、本当にその通りで、ちょっとばかり笑えないくらいに推しを、というかそのソシャゲの存在そのものを好きになってしまった。

今回の記事のテーマではないので、私が自ジャンルにのめり込んでいく日々の狂いっぷりなどは省くけれど、とりあえずリンクだけは貼っておくので、もしこの辺境の私の備忘録である記事を読む機会があって、暇だな~と時間を持て余している人がいれば、ぜひとも何かの縁だと思って始めてみて欲しい。恋プロは人生。

evolxlove.papegames.co.jp

 

とはいえ、せっかくなので簡単にどういったソシャゲかを説明しておくと、

・主要キャラは主人公含め全員超能力者

・フルボイスの長編SFバトルアクション&シリアス小説

・電話がかかって来る!生きてる!!

・それぞれの信念と決意と愛のスクランブル交差点

 

といった世界観だ。

イケメンをプロデュースしませんし、アイドル育成ゲームでもありません。

主人公ちゃん(初期名は無い)が番組制作会社の社長で、主要キャラ4+1名の少数精鋭な彼らとの関係性を深めるにつれて、人生や世界をプロデュースしてしまう、とにかく話のスケールが壮大で繊細なお話…………巨大感情を拗らせすぎて、簡単な言葉で説明しようとすればするほど己との解釈違いで首が絞まる。困った。

まあもうめちゃくちゃ端的に言ってしまえば、超絶ハイスペックなイケメンが好きな女の子のために苦しみながら全てを捧げて運命に抗い、運命や組織に圧し潰されてもがき苦しみつつも信念を貫き通す、背中と生き様がイケメンなイケメンが性癖な人にはきっと刺さるので、一人でも多くの人に私と同じ地獄を体験して欲しい。

イケメンの苦しむ顔は好きですか?私は好きです。

ハピエン過激派なので、ハッピーエンドとセットであれば大好きです。

上質なハピエンを頼む!!!!!!!!(お察し下さい)

……この辺りにしておこう。自ジャンルへの巨大感情はいずれまた。

 

この「恋とプロデューサー」に気を狂わされた私は、約5年ぶりに字書きとしての活動を再開し、長くても5000字ほどの短編ばかりだけれど2年連続で年間10本以上の小説を書いた。10本書ききった、という事が私にとっては天変地異並みの超常現象だ。

この時期に同人界隈に突如旋風を起こした「おけパ」こと「同人女の感情」(現在のタイトルは「私のジャンルに神がいます」)が流行り、その作者・真田さんが作中で描かれた字書きの特訓方法に励まされた影響もかなり大きかった。

30日間チャレンジはさすがにハードルが高かったけれど、1000字前後のSSを1週間毎日書いていた時もあった。奇跡だ。

 

 

小説を書くのって楽しい。こんなに燃えるのは久しぶりだったので、その分よく燃えた。二次創作最高!!!!

(※「恋とプロデューサー」は、毎週土曜日に公式Twitterアカウントでユーザーに妄想を促し「リプライで教えてね!」という小企画を開催したり、公式で二次創作作品の募集企画を開催したことがある、創作にとても寛容なジャンルだ。)

(※とはいえユーザーは「許されている」という立場であることを忘れてはいけない。以上、常に念頭に置いていますという一応の補足。)

 

そうしているうちに、文字や文章をこね回す作業がとても好きだけれど、文字を追いかけ続けるその作業だけでは感情の大きさが追いつかなくなった。

湧き上がる巨大感情が抑えられない。どうすればいい?!

この自ジャンルへの「好き」という気持ちを、小説以外でも何らかの形にしたい。

どうすればいい?!?!!

その時パッと脳裏に浮かんだのが、「イメソン」だ。

 

これだ!!!!

まさに天啓だった。

イメソンだ。イメソンでPV動画を作りたい。

 

が、残念ながら私に絵は描けない。下手とかうんぬんを通り越して、絵を描くという行為そのものに対してとても強い苦手意識があった。「形にならない……」と思いながら線を引いたり消したりする作業、かなりしんどくない?

その頃の私は、ちょっとした落書きを描くことにすら抵抗があった。

絵を見ること自体は凄く好きなのに、しかも学生時代の美術の時間は好きだったし、水彩画をやりたいな~という漠然とした気持ちを持ち続けてはいたのに、ノートの隅の落書きすら滅多にしないほど、「絵を描く行為」そのものに対して大きな抵抗があった。「描けない」という苦手意識が強すぎるせいなのだろうか?今でこそ随分薄れたけれど、あの感覚が何だったのかはよく分からないままだ。自分の感情の把握すらままならない。不思議だ。

 

絵は描けない。

でも、どうしてもイメソン動画を作りたい。

字書きに作れるイメソン動画って何だ?

曲に合わせて載せたい文章ならあるんだけどな。

……それで良くない?

 

ということで、鉄は熱いうちに打て。

気が狂ったオタクは狂っているうちに取り合えず手を出せ。

自ジャンルが1周年を迎えた少し後、イメソンでテキスト動画を作った。

無料で使えてしまう正気の沙汰ではない動画編集ソフト「DaVinci Resolve」に、どう使えばいいか分からず丸一日何も出来ないままずっと画面と睨み合う夜もあった機械音痴ながら、悪戦苦闘し一生分くらい一曲のイメソンをエンドレスリピートで何十回も聞き続けて、どうにかこうにか完成させた。

作ったとはいっても、お借りした音楽に合わせてただテキストを表示するだけの、ごく単純なものだ。

 

それでも、脱稿ハイは信じられないほど脳にキまった。

達成感はシャブだった。

笑ってしまうくらいハイになった。

私、動画作れるじゃん!!!!すげぇ!!!!!

 

 

その頃、数か月後に推しの誕生日が迫っていた。

脱稿ハイに染まった脳で「もう少し本格的にやってみたい」と思い立ったのは、テキスト動画を完成させた数週間後のことだった。

鉄は熱いままで、私の気は狂ったままだった。

 何もかもが手探りだ。初めてスマホのお絵描きツールに触れて、「ちゃんと練習しておけば良かった……!」とさっそく後悔しつつも「完成させたら天才」を合言葉に、隙あらば正気に返りそうな己を焚きつけてシャーペンで線を引き、それを写真に撮ってこれまた無料で使えてしまう正気の沙汰ではないアイビスペイントでなぞり、依然として使い方が全く分からない動画編集ソフトとの死闘を繰り広げ、ただ曲に画像を載せていくだけのごくごく単調な形ながら、推しの誕生日当日ギリギリに満身創痍になりつつも、念願のイメソンPVを完成させた。

作成枚数は4分ほどの曲に、パーツをとっかえひっかえしながら数十枚。スマホの小さな画面を拡大縮小しながら指でなぞり、「レイヤーとは」「クリッピングとは」の検索から始め、重度のスマホ依存症である私が「しばらくはスマホを見たくない……」と思うほどの時間と眼精疲労を費やして、「突貫工事のデビュー作にしては頑張ったじゃん?」と自己満足できる程度には頑張った。

今ではどちらも拙さへの恥ずかしさが上回って見返せないのだが、最後まで作り上げて、静かな部屋で固唾を吞みながら一人で最初から最後まで通しで見た時の感動と達成感は、昨日のことのように鮮明に覚えている。

推しへの情熱って本当に凄い。

こうなったオタクはもう止まらない。(二回目)

 

 

さて、タイトルに戻ろう。

 

字書き、液タブ買ったってよ。

 

5年前の私に言ったら絶対に信じない。

おまえ、推しに狂いに狂うあまり、あれだけ今世では触れることのないと思っていたイラストの練習してるよ。人生って本当に分からないよなぁ。

 

背骨が軟体動物並みに溶けやすい私にはiPadしかないと思っていたし、実際iPadにするか液タブにするかで半年近く悩んだのだが、悩みに悩んだ末に家電量販店へ実物を見に行ったところ、iPadはあまりにも液晶画面がピカピカしすぎていて好きになれなかった。iPhoneでは気にならないのに。iPhoneユーザーのくせに。ひどい矛盾だ。

余談だが私は4Kテレビがあまり好きじゃない。あまりに高画質すぎるとちょっとテンションが下がるのだ。我ながらよく分からない。人間分からないことばっかりだ。あと単純に目が疲れる。今の年齢で現代の技術に体が追いつかないことに一抹の不安を覚える今日この頃だが、まあそれは置いておいて。

理想としてはiPadよりもう一回りくらい大きい物が良かったし、全て揃えたら10万ほどする超最先端の機械を、超機械音痴がお絵描きのためだけに買うというのは、衝動で生きている私でもさすがに「無駄すぎる」と賢者タイム直行で、衝動で手を出せる存在ではなかった。

それでも、「どこでも単体で使える」という魅力はそれらと天秤で釣り合うくらい大きかった。ずっと机に向かって作業するのってしんどい。小説を書いている時の体勢は大抵地面と水平になっている私にとって、きっちり座らないと作業出来ないというハードルはかなり大きい。

あれ、もしかして私が絵を描くのが苦手なのって、ただ単純に一つの作業に向き合う根気がないだけじゃない?(深淵を覗いた顔)

 

そうして何とも言えない気持ちのまま向かったWacomの液タブコーナーで、画面保護用のフィルムの影響なのだろうか、程よくざらついた、ノートPCの液晶画面とほとんど同じ見え方で、画面にそのまま描ける液タブを見て、ビビッときた。

これだ……。

結局実物を見に行って購入に至るまでさらに3日ほどかかったが、「これ以上迷ったところで埒が明かねぇな!」と私の元来の衝動任せで楽観的な性格が、考えることにいい加減飽きたのか突然息を吹き返したタイミングに乗っかって、何とか購入にまで進めた。

今回私が購入したのは、天下のWacom様ではなく、中華タブことhuionの13インチ。

描ける範囲はA4のコピー用紙と同じくらいで、液タブ本体の大きさはA4のクリアファイルの横にiPhone7が一台置けるくらい。

huionにしたのは、液タブ用スタンドやグローブやペン立てなど備品が色々ついて、Wacomより1万円以上安かったうえ、評判も良さそうだったし、機械音痴の練習用には十分すぎると思ったからだ。

急に某動画サイトで突然始まる販促CMや、アフィリエイトのブログっぽくなってきたが、ただ紹介文の書き方が下手なだけで全然そういうのではないので安心して欲しい。

 

念願叶って液タブを購入した。大きな一歩だ。

そうして買うのに迷っていた半年間で調べていた通り、ノートPCに繋ぎ、液タブを起動して、クリスタのまずは体験版を入れてみた。

見たことある!!!神絵師の作業環境だ!!!!!

そうしてさっそく液タブの画面に線を引こうとした。

引けなかった。

 

????????

 

ちゃんと描画モードにしているのに、画面に触れると画面を掴んで移動してしまう。

ペンツールもバケツツールも自動的に移動ツールになってしまう。

どうして?何で?クリスタの充実したQ&A(ユーザー数の多いソフトはこういうところが好き)で調べたら、公式様の丁寧な謝罪文と共に「環境設定」がどうたらと出てくるけれど、そもそもそこに辿り着けない。困った。多機能を売りにしているだけあって、クリック出来る場所が多すぎてまあ目が滑る滑る。

本来では想定されていないであろう場外で乱闘を繰り広げること数十分、やっとの思いでその画面に辿り着いたはいいが、今度は公式様の書いている内容と私の手元で表示されている内容が違う。何故?

結論を言うと、液タブを使うためにはまず最初にその製品の公式ホームページにて「ドライバー」というものをインストールしなければならなかった。

機械って難しいね。(ここまで約1時間)

 

ドライバーを入れた!!!ペン先が機能するようになった!!!

勝った!!!第三部、完!!!!

……とはいかないのが人生である。

手元の液タブはノートPCと同じ画面を映していた。

しかも液タブに乗せたペン先を少し動かしすぎると、ノートPCの方にまでヒュンッと貫通して移動してしまう。初期設定だと液タブとPCは画面共有しているので当然だ。

このままだととても使いづらい。

神絵師の作業環境の写真でよく見る光景では、パソコンのモニターと液タブでは違う画面を表示している。あれがしたい。あれは何と言うのだろう。

「パソコン 液タブ 違う画面」で調べたところ、「デュアルディスプレイ」という言葉に出会った。

検索エンジンがこの世に存在しなければ、私は今頃生きていなかった。

サイトの本文中に似たような文面があるのだろうけれど、こんな雑な検索でよくアンサーを弾き出してくれるよなぁ……。

 

https://clrmemory.com/design/clip-studio-paint/huion-work-area/

 

こちらのサイトにhuionの液タブでデュアルディスプレイをする方法が載っていた。

Wacomのサイトではよく分からなかった。製品ごとにちょっとずつ仕様が違うって、いい加減にして欲しいよね。(当たり前のことです)

ドライバーはこの設定作業にも使うらしい。

入れてて良かったドライバー。ドライバー万歳。

 

こうして環境は整った。

液タブの画面にはクリスタが単体で表示されるようになり、その傍らのノートPCで私はこの文章を書いている。

これで私も神絵師の一員。

…………となったら世話ないんだけどね~。

「液タブを買って線の強弱や色塗りでうまい感じにやれば、きっとうまい感じになる!!」という神絵師の作業環境を見すぎて拗らせたIQ2の液タブへの謎に厚い信頼は、手元に表示された「練習しろ」という現実に一蹴されることになった。

現実はいつだって残酷だ。知ってた。

 

私を狂いに狂わせた「恋とプロデューサー」は今年で2周年を迎える。

リリース時期の兼ね合いもあって、私の推しは今年が3年目の誕生日だ。

どちらかのタイミングに合わせて、……締め切り守れない芸人なので間に合わなかったとしても、いつかきっと以前よりもう少し凝った動画を作りたい。

それがこの液タブに託された、一介の字書きの狂気と執念だ。

作りたい曲のリストだけは充実していて、普段あまり音楽を聴かない私の脳内ではずっとそのうちのどれかの曲が流れている。曲数が両手に収まる偏りまくった脳内プレイリストは、お陰で日々解像度が上がっている。脳内の映像は実物があるのではないかと錯覚を起こしそうなほどはっきりしているのに、何故かこの世には存在しない。多分もうしばらく生まれることもない。無力……。

耳の穴か頭のこめかみ辺りにコードの差込口が実装されたり、頭にカポッと装置をはめることで、思い描いている映像が画面に出力される技術が生まれたらいいのになと、小さな頃からずっと思っている。きっと誰もが一度くらいは思い描いたことがあるだろう。

液タブやデュアルディスプレイやドライバーや、何よりインターネットなどという未知の世界を生み出したこの世の技術者達ならば、遠い将来いつかきっと何らかの形で実現してくれるのではないかと思う。

が、その頃には「恋プロ」はきっとない。

ソーシャルゲームはその規模に関わらず、どれだけ長年多くの人に愛されていようとも、サービスが終了した瞬間あっさりとこの世から消えてしまう、あまりにも儚い存在だ。

はわ……恋プロが桜に攫われちゃう……。(斧を構えるポーズ)

私のこの業火で燃えに燃えて身も心も焼け焦げそうな狂気も、生涯ジャンルだと思っているので完全に心が離れることはそうないと思うけれど、今の火力をずっと保ち続けることが出来るかは分からない。今はこんなにわけが分からないほど好きなのに。

必要なのは今なのだ。だから、今、この狂気を形にするために、その実現方法を身につけるべく練習しなければならない。

聞いてるか私。こんなブログなんか始めてる場合じゃないだろが。

衝動と思いつきでばかり行動しやがって。

液タブにすぐ飽きるんじゃないかと迷いに迷って半年買い渋ったあの月日を無駄にするんじゃないぞ。聞いてるのか、おい。

 

 

愛してるよ、恋とプロデューサー。

これからもずっと私の傍にいてくれ。

 

 

 

もし恋プロをご存知でないにも関わらず、こんなよく分からないブログを最後まで読み切った酔狂な方がいるのであれば、せっかくついでに自ジャンルの新章告知PVも見て行って下さい。一番最初に喋る人が私の推しですが、まあもうほんと全員大好きです。

恋プロは人生。

 

 

毎度のことながらクオリティが映画の告知PV級……。

はあああ……ハッピーエンドが来い……その日までどこまでもついていくよ……。

直近の目標は、レイヤーマスクの使い方を覚えることと、投げ縄ツールが一体何なのかをちゃんと覚えること、そもそもちゃんとした人体を描けるようになることです。

ある日突然背中から神絵師の腕が生えてこないかな~。

もうずっと言っている小説本も作りたい。

気持ちだけはいつだって人一倍あるんだけどなぁ……気長にいこう。